Vol.225 ウソに騙されるな 〜「正義と悪」「明と暗」 みんなウソ〜
朝青龍−白鵬の一戦が終わってもワイドショーはその話に花が咲いている。
そして、きっと出てくるだろうと思った通り、白鵬と朝青龍を「明」と「暗」に分けたり「正義」と「悪」に分けて論じる評論家がたくさんいた。
ぼくが取っているスポーツ新聞でも、某女性スポーツライターが二人を正義と悪に分けて彼女にありがちなステレオタイプな記事を書いていた。 彼女は以前にも、取材無しで自分の想像(妄想)だけで断定的な非難をして降板したことがあるが、今回もまた性懲りもなく同じようなことを書いていた。
まあ、これ以上書くと誰の事かわかってしまうのでやめておくが、勝った白鵬と敗れた朝青龍を「正義と悪」に分けたり「明と暗」で論じたりすることほど馬鹿げた上に無意味なことはない。
マスコミでは視聴率が取れるようにしか力学が働いていない。まともな話というのはお呼びでないのだ。だから議論はいつでも右から左へ、上から下へ、極端と極端の間を行き来するようになっている。白鵬と朝青龍も、そうした「対立軸論法」の犠牲者に過ぎない。
彼らは相撲取りである。 石油を横取りするために根拠をねつ造して爆弾をイラクに落とした侵略者でもないし、ガソリンの暫定税率を下げると国民がガソリンを無駄に使って環境を汚染するなどと国民をコケにするペテン政党でもない。
ヘタすれば大怪我をしかねない命がけの肉弾戦をしている力士なのである。正義もへったくれもないし明も暗もない。どうしても言えと言うなら、白鵬も朝青龍もどちらも正義だ。明と暗ではなく「明と明」だ。
そんなことは誰にでもわかることである。
しかしぼくらは、朝も昼も夜も、常に腰を据えてテレビを見る暇なんて無い。仕事そっちのけで、話題のニュースの事を始終考えているわけにもいかない。つまり若干の隙がある。そこを突くようにして、ありもしない話やでっち上げが忍び寄ってくるのだ。そういうウソには、くれぐれも騙されてはいけない。
松井政就
'08.1.30
|