Vol.227 正義の味方
出先でどうしても腹が減り、食料を求めてコンビニに入った。
冷蔵の棚には玉子サンドとハムサンドとツナサンドがあった。ツナサンドがおいしそうだったので買って外に出て、我慢できずにその場で口に入れた。
ところが、非常にマズイのである。
悲しいくらいマズイ。
今話題の毒の類ではなく、たんに味がマズイのだ。
困ったぼくは、食べかけのツナサンドを店内に持ち帰り、
「これ、とってもマズイんです。何かおかしいと思うんです」
と言った。
「マズイと言われてもそれはお客さんの主観ですし」
と、店員は困惑。残りの一個を差し出し、食べてみてくれと言ったが、食べたくないという(ある意味当たり前か)。
「金返せなんて言いませんから、一口食べてみてください」
と食い下がると、ようやく店員は口に入れた。すると、
「何だ、こりゃ!?」と口を歪め、「店長!」と叫んで奥に飛んでいき、店長を連れてきてツナサンドを食べさせた。
「何でこんなにマズイんだ!?」と店長は絶句。「こんなものは売れません。他のサンドウィッチをお持ちください」
ぼくはモジモジしながら「おにぎりでもいいですか?」と尋ねた。
店長はハッとしたように、
「もちろんです。私は正義の味方ですから」
と、わけのわからないことを言って目を輝かせていた。
一体あのサンドウィッチは何だったのか、近いうちに調布まで行って顛末を聞いてみたい。
松井政就
'08.2.13
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