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松井政就の週刊日記 『よく遊び よく賭けろ』

Vol. 239. 芸術性への扉を開けた

浅田真央 涙の戴冠 フィギュアスケート世界選手権


 エッジが滑って転倒した瞬間、金メダルは消えたかと思った。
 1しかし凍り付いた空気の中、ショパンの調べを背に浅田真央は再び立ち上がった。その瞬間こそが、歓喜への序章であった。

 見守るぼくらの前で浅田真央は舞っていく。 華麗なステップ、音楽との一体感、そして間合い。 空気がみるみる臙脂色に染まっていく。 そこには
新しい浅田真央がいた。

 演技が終わろうとした時、ぼくは思った。
 練習に練習を重ねて迎えた勝負の時、懸けていたトリプルアクセルが飛べなかった。その思いがエネルギーとなって浅田真央を一つ上のステージに登らせたのだ。

 
演技構成点での最高得点

 
浅田真央が自らの手でついに芸術性への扉を開けた瞬間だった。
最も必要で最も欲しかった物を彼女はまた一つ手に入れたのだ。

 浅田選手、おめでとう。

松井政就
'08.3.24

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