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Vol.254 証拠写真 〜これでウソツキ呼ばわりされない〜
人は馴染みの無いことはなかなか信じられないものだ。
そんな時よく出てくるのが「証拠を見せろ」という言葉だ。 次の2つは証拠写真がなければ信じられないものの一つかもしれない。
一つ目は「東京の横断歩道を渡るニワトリ」だ。 従来からその存在を知人に主張してきたが、なかなか信じてもらえなかった。
これがその証拠写真だ。
道路のこちら側からあちら側に、ニワトリがてくてくと渡っていくのを見て、サラリーマン風の男性と通りがかりの女性らが呆然としていた。左前方からやってきた車が左折しようとしてクラクションを鳴らしたが、ニワトリは無視してゆっくり渡っていた。 とにかく堂々としたものだった。
2つ目は浅草での光景。
パチンコ屋から「もっと出せコノヤロー! 何が冬のソナタだ!」と怒鳴りながら出てきたオジサンが、並んでいた自転車を蹴っ飛ばした後、映画館の前で「オレは寅さんだ!」と言って寝てしまった。
(入り口には寅さんの立て看板がある)
友達らしきオジサンは「またかよ……。しょうがねーなー」と言いながら靴の紐を結び直すと、放ったらかしにして行ってしまった。
(一時間後)
行き倒れでないことは確かなのでぼくもその場を立ち去り、甘味処でおやつを食べて戻ってみると、“自称寅さん”はまだ同じ場所に寝転がっていた。
この証拠写真がなければ、どちらも信じてもらえなかった話だろう。
松井政就
'08.5.14
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松井政就(まつい・まさなり) 作家。中央大学早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』 『ディーラーホースを探せ』(光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。
http://tjklab.jp/ |
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