Vol.266 新手のスパルタ教育か? 〜若い母親の怒鳴り声〜
あまりに暑いので仕事に行く途中で帽子を買った。
ぼくの頭は普通の人よりデカイようで、ピッタリの帽子がなかなか見つからない。今回の帽子も若干キツイのだが、メーカーで作っている最大のサイズというので、それで手を打った。
さて、買った帽子を被ってお店を出たところ、店の前で女性が声を張り上げていた。茶髪をポニーテールにした女性は、泣いている子供に向かって怒鳴っていた。
「泣くんじゃねえよ、バカヤロウ!
何で泣いてるかわからねえじゃねーか、おい、何とか言え!
いつまでも泣いてんじゃねーよ、このバカヤロウ!」
見た人が青ざめるほど尋常でない怒鳴り方だったが、ここまで読んだ人は恐らく、ダダをこねている男の子を叱りつけているのだと想像するだろう。
しかし、違うのだ。
泣いていたのは、乳母車の中の赤ん坊だったのだ。
買ったばかりの帽子から、じわりと汗が滲んだ。
じきに、見かねたおばさんが声を掛けていた。
松井政就
'08.7.11
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