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Vol.275 マカオからの報告 (1)中国人が見た五輪
マカオ取材から帰ってきた。
今回はたまたまオリンピックと重なったため、競技の模様は現地のテレビで見ることとなった。もちろん中国の局なので、日本選手の試合が見られるケースは少なく、大半は中国選手が出た試合だった。
見ていて、あることに気づいた。
中国選手ばかりが大活躍なのだ。メダルを100個取ったのだから超のつく大活躍には違いないのだが、ここではそういうことを言いたいのではない。
陸上競技でも、画面の中では中国人選手が他国の選手を抜き去っていく。個人競技でも、中国選手が演技を終えて、その時点での暫定1位となったシーンが連発される。団体戦では、たとえば第2セットを取って盛り上がるシーンがでかでかと出る。いま、現在進行中の映像を流してくれよと、画面に向かってつい文句が出る。
さあ、最終結果はどうだったのかと注目して見ていると、それが一向に出てこない。他の競技に切り替わってしまったりする。そして忘れた頃になって、さっき見ていた競技の結果がポンと出る。
それを見て「なるほど、そういうことなのか」と思った。
さっきあれほどごぼう抜きで走っていた中国選手が優勝じゃなく、個人競技はメダルを逃していたり、団体戦では第3セット以降を取られていたりと、当初放送していた内容から想像される結果とは違う結果が出ていたのである。
つまり、活躍しているシーンばかりを選んでハサミでチョッキンして流していたのである。
<写真はマカオの世界遺産『セナド広場』に設置されたオリンピック公開放送会場>
マカオでは、実は大して盛り上がっていなかった。
つづく
松井政就
'08.9.4
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松井政就(まつい・まさなり) 作家。中央大学早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』 『ディーラーホースを探せ』(光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。
http://tjklab.jp/ |
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