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Vol.288 社長集会 〜キャビアよりノリ弁〜
先日、社長の集会に誘われた。
ぼくは社長でも何でもないが、せっかく誘われたので面白半分で行ってみると、会場はワイン片手の立食パーティという感じで、蝶ネクタイの男性もいたし、ドレス姿の女性もいた。この時点でぼくは最初から浮いていた。
テーブルに並んだ料理は、キャビアにウニにイクラにと、ぼくが食べられないものばかりで悲しかったが、仕方がないので最初からケーキを食べていた。
するといかにも高そうなスーツの人が来て、「はじめまして」と名刺を出された。
聞いたことない長い英語の社名だ。そして名前の上にCEOと印刷されているので、「セオさんですね」と言ったら、あっちに行ってしまった。
すると別の人がやってきて名刺を差し出された。
今度は社長と書いてあり、CEOよりはやや好感を持てたが、それもつかの間、自分がどれほど稼いだか、どんな金持ちの知り合いがいるか、芸能人の誰と友達か、ホームパーティには女優の誰が来たか、政治家の誰々は自分には頭があがらないといった話がベルトコンベアのように出てきた。
はあ、そうですか、と聞いていると、「週末は日本一高い山に行くんです」というので、「代官山ですか?」と訊くと、さっとあっちに行ってしまった。
続いて来た人は大きなヨットだか船だかを持っているようで、日曜日にクルーズに出るから来ないかと誘われたので、「その日は菊花賞があるんです」と断ると、3秒ほど黙った後、結局、あっちに行ってしまった。
翌日、秋華賞の100万馬券を鼻差で逃した盟友の畠山氏(Vol.264)(Vol.246)(Vol.211)を誘い、隅田川沿いのベンチでお昼を食べた。
太陽の光を浴び、川を下っていく遊覧船の客から手を振られながら食べた「ノリ弁当」は実に旨かった。
松井政就
'08.10.22
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松井政就(まつい・まさなり) 作家。中央大学早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』 『ディーラーホースを探せ』(光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。
http://tjklab.jp/ |
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