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Vol.318 無料には害がある 〜金を出しても入れない漫才小屋〜
ひいきにしている漫才師がいるため、応援しようと平日の浅草の某漫才小屋に行ったところ、入り口には長蛇の列。ぼくが入ろうとすると、
「すみません、もう一杯なんで」
と、入場を断られた。
平日なのに満員とはすごいと、知らない人は思うだろうが、実際はその逆だ。ここに並んでいる人の大半は「タダの入場券」をもらった人なのだ。
実はこの漫才小屋は商店街や新聞などと提携して、希望すればタダでチケットをくれる。そうやってタダで暇つぶしをしに来ている人で溢れているというわけだ。
「金払って本気で見たい人が入れないシステムなんて一刻も早く廃止したほうがいい」
と、いつもと同じ文句を言ったが、係員にはピンと来ず、「はあ?」という生返事が返って来た。
仕方ないので土曜日の昼に見に行くと、演目が始まったにもかかわらず、客はぼくを含めてたったの5人。
「土日に来ている皆さんは、みな自腹を切った人だちですからね。聴く気がある人を前にすると、やりやすいですよ」
と漫才師もつい口を滑らせていた。
もし、たったの1000円でも取られれば来ないとすれば、1000円の価値も見いだしてないということだ。そんな人間を相手にしたら、芸人だって真剣にやる気は起きない。無料が流行る世の中だが、無料はこうして文化を破壊することだってあるのだ。
ところで、時々ここに書いている競馬の予想がパクられて、勝手に引用されたりしていたことがわかった。やっぱり無料は害がある。労力をかけて、精魂込めた記事は、それなりの気持ちを持った人に読んでもらいたいし、勝手にパクられるのは嫌なものだ。
だから競馬の予想は、先月からは希望する人だけに有料メルマガで読んでもらうことにした。お金を払って読んでくれるという人は、本を買ってくれる人と同じだから、こちらも時間と労力をかける意味がある。
そんなわけで始めた予想メルマガは、スタート直後は不調だったが、クイーンC的中で調子を取り戻し、先週の土日は重賞3連勝で、アーリントンCの万馬券も無事的中することができた。もちろん、読者のみなさんも同じ万馬券を獲ったということで、ホッと胸をなで下ろした。
<アーリントンカップ(G3) 馬連1−8 176倍的中>
松井政就
'09.3.3
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松井政就(まつい・まさなり) 作家。中央大学早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』 『ディーラーホースを探せ』(光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。
http://tjklab.jp/ |
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