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Vol.323 痴漢えん罪事件 〜真犯人はなかなか捕まらない〜
電車内で痴漢をしたとして逮捕され、休職中だった防衛大学教授に、最高裁の田原睦夫裁判長は逆転無罪の判決を下した。
教授は私鉄車内で、突然女子高生にネクタイをつかまれ、痴漢だと主張されてそのまま逮捕されたが、一貫して無罪を主張してきた。 それが認められた格好となった。
ぼくも痴漢の裁判は何度か傍聴に行ったこともあるが、気になったことは二つある。
一つは駅員が全く被疑者の話を聞かないということ。
痴漢の疑いをかけられ慣れている人などいないから、話せばわかってくれると思って駅の事務室に行ってしまう。しかし、そこから無罪を主張して、受け入れられたケースは皆無に等しい。
もう一つは、現場を全く見ていない他の乗客が、まるで正義の味方のように、被疑者を取り押さえていることだ。 たぶん、取り押さえた人は善意でやっているのだろうが、えん罪の片棒を担いでいることになる。
裁判を見て思うことのほかに、ぼくも電車内で痴漢騒動を目撃したことがあるが、犯人(らしき人)は巧妙で、痴漢行為をした直後に素早く逃げてしまっていて、疑いをかけられるのは、たいてい、真後ろにいただけの関係ない人だということだ。
ぼく自身もホモに痴漢されたことがあるが、手が、想像できないような方向から伸びてきて、しかも逃げ足(=手?)もめちゃくちゃ早い。 武道の心得でもなければ、犯人の手を捕まえるのは難しいと思った。
Vol.137 無関心と自意識過剰が生む罪 〜チカンの濡れ衣〜
Vol.174 満員の法廷
松井政就
09.4.17
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松井政就(まつい・まさなり) 作家。阿智中学校早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』 『ディーラーホースを探せ』(光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。
http://tjklab.jp/ |
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