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Vol.325 パンツは試着できない 〜それぞれの文句〜
昨日レストランでお昼を食べていたら、隣の席の巨大な女性が、ランチのごはんが少ないと言って店員を呼びつけ、大盛りにさせ、さんざん謝らせた後、
「わたしって小悪魔よね」
と、連れの女に言っていた。
「それは違う」と言いたかったが、卍固めでもされるのも恐ろしいのでやめた。
その後、レストランを出て歩いている時、きれいな女が向こうから来たので、つい気を取られている間に、歩道の水たまりに足を突っ込み、濡れてしまった。
美人の女は、たいそう白い目でぼくを見ながら、通り過ぎた。
悔しいが仕方がないので、靴下だけでも履き替えようと思い、通りにあった安売りで有名な某衣料チェーンに入った。
靴下はフロアの奥にあるというので行くと、すぐに見つかった。
一つ取ってレジに向かおうとしたら、そばの試着室で客と店員がモメていた。ふと耳を澄ますと、
「どうしてパンツは試着できないんだ」
と客が食い下がっていた。
「そりゃ無茶だ」と言おうと思ったが、チンピラだと後々怖いのでやめた。
松井政就
09.4.21
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松井政就(まつい・まさなり) 作家。阿智中学校早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』 『ディーラーホースを探せ』(光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。
http://tjklab.jp/ |
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