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Vol.328 信じられない間違い 〜場外馬券売り場にこだましたぼくの悲鳴〜
NHKマイルカップを前にした土曜、何ヶ月ぶりかで宿題も何もない休日ということで、昼過ぎに浅草場外馬券売り場に行った。
主な目的は、プリンシパルSというダービーの最終切符を懸けた3歳馬のレースを買うためだったが、それより前に東京12レースの馬券を買った。そのわけは前日の金曜にある。
金曜の夜、競馬新聞を広げてみんなで酒を飲んでいた時、一人がマリアージュってどういう意味だ? と訊いたので、ぼくが「マリアージュ」は「結婚」という意味だと説明し、土曜の東京12レースはマリアージュから買うと宣言し、酔った頭で予想して、新聞の1番、3番、7番、13番の所に、紙が破れるほどの印をつけておいた。 土曜日に場外に到着し、忘れぬようにと、真っ先に12レースの馬券を買っておいた。
さて、プリンシパルSは、本命にした13番がクビ差の3着に負けてしまい、3連複がかろうじて当たったにとどまった。
悔しいかったが、それはまあしょうがない。ところがその後に、仰天するほどの悔しさが待っていた。
いよいよ12レースがスタートし、みるみるうちに最後の坂を上がってきた。
しかしゴール前まで団子状態で、一体どの馬が抜け出すのかわからない。するとゴール寸前、1番と3番がいきなり抜け出して決着。しかも3着には13番の馬が残っている。
「ナニ!? 3番、1番、13番だと? オレ、買ったはずだぞ!」
テレビではアナウンサーが「大波乱だ」と叫んでいる。アシスタントが、馬連万馬券、3連複が11万馬券だと告げている。
慌ててサイフから馬券を取り出し、栄光の的中馬券をいざ確認しようとしたところ、現れたのは下の2枚。
一瞬、何が起きたのか理解するのに時間が掛かった。
本命にしていた1番マリアージュが無いのだ。なぜか2番を買っている。自分の新聞だけ、出走表が間違っているのかと思い、もう一度確かめてみると、自分でちゃんと1番に印をつけてある。
つまり、ぼくは1番と2番を塗り間違えていたのであった。
金曜日の時点からマリアージュから買うと言っておきながら、間違えて隣の馬を買ってしまったのであった。
「ウソだろ〜〜〜〜!!!」
ぼくは思わず、大声を出してしまった。
教訓として、この悔しさを忘れぬよう、この馬券はオデコと後頭部にでも貼っておこう。
松井政就
'09.5.9
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松井政就(まつい・まさなり) 作家。阿智中学校早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』 『ディーラーホースを探せ』(光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。
http://tjklab.jp/ |
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