松井政就の雑談日記 よく遊び よく賭けろ
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Vol.350 材料が同じでも名シェフと同じ料理は作れない  〜ジェネリック薬品 過信すべからず  

 今日は薬の話である。
 最近、盛んに「ジェネリック薬品」を使おうという声が聞かれるようになった。テレビCMでも、まるで平和の合唱のように、ジェネリック、ジェネリックと叫ぶものもある。

 知らない人もいると思うので、おおざっぱに説明すると、ジェネリック薬品とは「成分構成」の特許が切れた薬品を、後発メーカーが同じ成分を使って安く作った薬品のことだ。
 だから、一般的にジェネリック薬品とは、成分は基本的に同じで値段が安い薬というように思われている。そう言われれば、あたかも効能も同じだと思ってしまうのが人情だ。

 ところが、全然そんなことはないというのがぼくの意見である。なぜなら、ジェネリック薬品とオリジナルの薬品とは似て非なるものだからだ。
 ジェネリックは特許の切れた成分構成だけを真似して作ることは出来るが、薬自体の「製法特許」を回避して作らなければならないという致命的な点がある。

 つまり、
絶品料理と全く同じ材料を使っても、作り方が違えば味が全然違う
 ということと、同じなのである。

 つまり、ジェネリックは、同じ材料で出来てはいるが、製造方法が異なることで、実際の効果(=効能)がオリジナルの薬と同じとは限らないのである。だから、これまでオリジナルの薬が効いていた人が、やたらにジェネリックにした場合、それまでのように効く保証はどこにもないのである。

 ただしその逆もあって、製法の違いのせいで、人によってはジェネリックの方が効くという偶然も報告されている。

 しかしジェネリックばかりを推進する風潮を危惧するのには、もう一つの理由がある。
 オリジナルの薬の開発メーカーは、大金を投じて開発した薬を、後発メーカーに安い値段で売られてしまえば儲からなくなってしまうため、お金のかかる開発が出来なくなる可能性もあるという点だ。
 安さばかりを追い求めた電器業界で、世界的な質のダウンが起きたように、薬の世界でも同じようなことが起きる可能性があるのだ。

 しかも、将来、後発メーカーにジェネリックとして安く売られてしまうことを想定して、あらかじめ、損しないように上乗せした値段を設定される可能性だってある。

 やっぱり薬は命に関わるものだから、安ければいいという発想自体が危険だとぼくは思う。
 他の物と同じで、安ければいいという考え方をしていると、使う自分たちが結局損をする羽目になるのだ。



 松井政就
 '09,8.27

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本人像 松井政就(まつい・まさなり)  
作家。長野県会地小学校早退。
主な作品: 
『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』(講談社プラスアルファ新書) 『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書)  『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 『ディーラーホースを探せ』 『経済特区・沖縄から日本が変わる』(以上、光文社) 『神と呼ばれた男たち』等。  作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスアドバイザー、大学での講師などもたまに務める。
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