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Vol.368 イメージという魔物 〜武豊かルメールか 第29回ジャパンカップ〜
天皇賞3着敗戦の責任を取らされてのことなのか、武豊騎手がウオッカから降ろされた。代わりにジャパンカップでルメール騎手が手綱を取ることになった。
ファンやマスコミの間でも、これでウオッカが本来の走りが出来るかのように言われているが、本当にそうだろうか? たしかにルメールは名手だし、数々のG1でも初騎乗の馬を好走させてきた。時にルメールマジックとも呼ばれる手綱さばきを見せられてきたことで、ウオッカがもう復活間違いなしのように言われ、単勝で前日1番人気になっている。
ぼくもそうなってほしいという希望はあるが、そんなに簡単にいくだろうか?と思う。 なぜならこのルメールブームとも言うべき人気の前に、武豊とルメールのどこが違うかという検証がなされないまま、イメージだけで今度は大丈夫だという雰囲気になっているに過ぎないからだ。
天皇賞や安田記念の直線で塞がれた件について、本来の武豊らしさがなかったという意見は認めた上でも、そうしたものは他の馬(陣営)たちがウオッカを負かそうと必死になったから起きた産物であって、そうした打倒ウオッカという意識が、鞍上がルメールになったことで無くなるわけではない。
つまり、ルメールのウオッカは強いというのは、イメージという魔物が作り上げた幻想かもしれないということだ。
過去10年間で1番人気に支持された日本馬は全て3着以内に入っている。しかし前年に1番人気で勝てなかった馬が巻き返した例はない。昨年の方が明らかに強かったことを思うと、ウオッカが勝ち切ることは難しいのかもしれない。
武豊はリーチザクラウンで逃げるらしい。ウオッカの脚を知り尽くしている彼が一体どういうレースを作り出すのか。 ウオッカを軸にした3連複と3連単、そして連勝馬券は武豊から買ってみたいと思うジャパンカップとなった。
松井政就
'09.11.29
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松井政就(まつい・まさなり)
作家。長野県会地小学校早退。
主な作品:
★『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』(講談社プラスアルファ新書) ★『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) ★ 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 ★『ディーラーホースを探せ』 ★『経済特区・沖縄から日本が変わる』(以上、光文社) ★『神と呼ばれた男たち』等。 作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスアドバイザー、大学での講師などもたまに務める。
http://tjklab.jp/ |
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