Vol.375 帰って来た浅田真央
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全日本フィギュアが行われた。 今年も会場に行き、どんな結末が待っているか、固唾を飲んで見守った。 注目していたのは、まず男子は高橋大輔選手。 十字じん帯断裂から復活したアスリートは滅多にいないということで、いつ再発するかと心配ばかりしながら今シーズンを見て来た。 とくに今シーズンのショートプログラムはタンゴの「eye」。たまらなく切ない曲で、高橋くんの足が心配なばかりに、余計にはかなさを感じ、祈るような気持ちで応援した。 不動の男子のエースが怪我からの復活とメディアは報じたが、復活どころか怪我をする前よりもすばらしい。 高橋くん、おめでとう! そして、いよいよ女子シングル。 世界中のファンがパニックになるほどの出来事だった予想外の不調から、浅田真央がどのように立ち直るかが最大の注目だった。 日本のどこもかしこも、真央さんを心配する声で溢れていた。真央さんがリンクに現れると場内は鼓膜が破れるほどの歓声がわいた。 いよいよフリーの演技。リンクは物音ひとつない、異様な雰囲気に包まれた。 こだわり続けたトリプルアクセルを冒頭で決めるまで、ぼくも、そして誰もがきっと、息をするのを忘れていただろう。 キレ味の良いトリプルアクセル、そしてフランス杯やロシア杯とはまるで別人のステップ。 「浅田真央が帰って来た」 そう思った。 試合から一夜明けた大阪の街で、たくさんの人々が真央さんのことをうれしそうに話しているの見て、浅田真央という選手が人々にどれだけの幸せを与えたのか、よくわかった。 真央さん、おかえりなさい。 '09.12.27 |