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松井政就の週刊日記 『よく遊び よく賭けろ』

Vol.392. これで見納めなんて寂しすぎる 〜浅田真央〜VSキムヨナの対決 世界フィギュア2010


 トリノで行われたフィギュアスケート世界選手権で、浅田真央選手が金メダルを獲得した。

 おめでとう!

 オリンピックの涙の銀メダルからわずか一ヶ月後の雪辱。多くの主力選手が調子を崩す中、モチベーションを維持するのは大変なことだっただろう。素晴らしい精神力だと思う。

 ジュニア時代から世界のトップを走りながら、今でも常にレベルアップしていくのは、彼女がまだ、相当な伸びしろを残している証拠。
 あとは、
自分がかつて跳んでいたジャンプや不得意だと思っている要素が、実は彼女の大きな武器になるということに気づきさえすれば、さらに素晴らしい浅田真央になることだろう。期待したい。

 ところで、今回の世界選手権を、ぼくは違った意味で見逃せなかった。
キムヨナ選手が引退するという噂が流れているからだ。

 キムヨナ選手も浅田真央選手も、片方だけでは決して今のような素晴らしい選手にはなれなかった。百年に一人の選手と言われる選手が、一度に二人生まれた ことは、お互いにとっては大変なプレッシャーとストレスだっただろうが、そのプレッシャーとストレスこそが、二人を超一流へと成長させたことは言うまでも ない。

 戦う二人は大変だろうが、フィギュアを観戦するファンにとっては、こんなに幸せな悩みはない。もちろん、片方だけでも素晴らしい魅力を感じるが、
二人が戦うことで、一人では生み出せない感動を作り出してきてくれた

 試合ではどちらも譲らぬライバルだが、二人はきっと心の中でわかりあえていて、相手が自分にとって不可欠の存在であることを確信していることだろう。

 二人がそのことについて、公の場でインタビューされて、うかうかと口にすることがないのは、戦った本人たちだけでしかわかりあえない、あうんの呼吸に見える。

 選手にとって、オリンピックの金メダル以上の栄誉はない以上、キムヨナ選手が今後のモチベーションを保つのは、オリンピック連覇という目標以外にない。 重圧をあと4年背負い続けるのは大変だが、プルシェンコのように、一度競技を離れてもまた復帰できるのだから、すぐに引退せず一度休養し、是非、真央選手 との対決に戻ってきてほしい。

 ぼくは真央選手をこの上なく応援しているが、その真央選手も、ライバルのキムヨナがいるからこそ、一段と素晴らしくなったことを思うと、
二人はやっぱりセットでいつまでも見ていたい
 '10, 3. 28

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