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Vol.418 必死の男 〜女子を口説くのはなぜこんなに難しいのか？〜
恋愛中毒がますます悪化し、遊びも手につかなくなった。
仕事はもともと手についていないのでいいのだが、遊びまで手につかないとなるとツラい。 そこで、少し気分転換をしようと、小説をもって喫茶店に出かけた。
隣には２０代と思われる女子とサラリーマン風の若い男が向かい合って座っていた。
女の子はかわいい子で、男も意識してか、けっこう気を遣っていた。しかし聞こえてくる話の様子では、まだ恋人同士というわけではなさそうだった。
「俺、今度大きな部屋に引っ越そうと思うんだ」
「へえ〜」
「引っ越したら遊びに来ない？」
「わたし、ひとん家ってあんまり好きじゃないの」
小説なんか読んでいる場合じゃないと思い、ぼくは話に集中することにした。
「『瞬（またたき）』（※）を見に行かない？」 （※北川景子主演の最新映画）
「ごめん。友達と見に行く約束しちゃったの」
男は黙って下を向いたが、はっとした感じで再び顔を上げた。
「ねえ、今度、巨人戦見に行こうよ」
「わたし、阪神ファンなんだ」
「じゃあ、お相撲見に行かない？」
「ごめん。太った人、嫌いなんだ」
女子を口説くのって、なんて難しいのだろう。
松井政就
'10. 6. 19
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松井政就（まつい・まさなり）
作家。長野県阿智村会地小学校早退。
主な作品：
★『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』（講談社プラスアルファ新書） ★『賭けに勝つ人 嵌（はま）る人』（集英社新書） ★ 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ１億円以上！なぜ？』 ★『ディーラーホースを探せ』 ★『経済特区・沖縄から日本が変わる』（以上、光文社） ★『神と呼ばれた男たち』等。 作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスアドバイザー、大学での講師などもたまに務める。
http://tjklab.jp/ |
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