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Vol.431 実は危険地帯なのか? 〜“歌う闇市” 玉置浩二〜
玉置浩二ががんばっている。
コンサート中にステージで寝てしまったことに腹を立てた客がいるというが、お客さんも無粋なことをしてはいけない。そんなもの、寝かせておいてやればいい。彼は芸をしているのだ。
芸人といえば、昭和の名人と呼ばれた落語の5代目古今亭志ん生は、酒に酔ったまま高座に上がり、「え〜」と言ったまま居眠りをしてしまった。
客は怒るどころか
「高座で眠る志ん生なんて滅多に見られるものじゃない」
と大喜びし、その珍しい光景を楽しんだ。
芸人に、「客の希望するものを出せ」というのは逆さまの話で、客はお金を出して、今日はどうなるかわからない芸人の出し物を楽しめばいい。
「俺はスーパーマーケットではない」と玉置は言ったが、その通りで、彼はむしろ「闇市」だろう。一体何が出てくるか予想もつかない夜の市場だ。焼きそば屋で500円払ってたこ焼きが出されるのは序の口。焼きそばをくれともう一度500円を払えば、「おう、ありがとヨ」とカネだけ持っていかれるのが闇市の世界。
ぼくのような凡人にはさっぱり分からない。
しかし、何だかさっぱり分からない闇の部分こそが凡人を魅了するのだ。
松井政就
'10. 9. 15
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松井政就(まつい・まさなり)
作家。長野県阿智村会地小学校早退。
主な作品:
★『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』(講談社プラスアルファ新書) ★『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) ★ 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 ★『ディーラーホースを探せ』 ★『経済特区・沖縄から日本が変わる』(以上、光文社) ★『神と呼ばれた男たち』等。 作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスアドバイザー、大学での講師などもたまに務める。
http://tjklab.jp/ |
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