|
Vol.469 うれし雨のダービーなるか? 〜触れなば落ちん型の女に学ぶ〜
浅草で見つけた喫茶店に入ると、客は誰もおらず、椅子はお尻が吸い込まれるような座り心地。コーヒーを飲みながらつい眠ってしまった。
目を覚ますと女店主がやってきた。決して美女ではないが、すごい色気がある。
「ずいぶんぐっすりお休みで」
「すみません。気持ちよかったんで」
「いいですのよ。他に誰もいませんし」
時計を見て、もう1時間も眠っていたことがわかった。
「夕方からはバーになるので、来てくださいね」
手を握られると、ゆらゆらといい匂いが漂ってきた。
その気になって夕方行くと、
「あっら〜。来てくださったのね」
男はこうして騙されていく。
いかにも「触れなば落ちん」という感じの女は落ちそうで落ちない。逆に、とても落とせそうにない女ほどあっさり落ちたりする。
女は難しいが、競馬も難しい。来そうな馬ほど来ない反面、まるでお呼びでない馬が勝ってしまうこともある。
その引き金を引くのが雨だろう。
脚下がぬかるむと、エリート馬はやる気を無くすが、叩き上げ馬はへこたれない。どうしてもその女を落としたければ、雨が降ろうが槍が降ろうが口説きに行く男と同じだ。
東京はダービーの日まで雨が続くらしい。田んぼのような馬場になるかもしれない。そんな馬場でも勝てるのは、たいして注目もされず、必死の思いでダービーのゲートまでたどり着いた馬ではないか?
「えっ!アイツが!?」というようなヤツがみんなの憧れを落としたりするように、今回のダービーもやっとこさ出走にこぎ着けたような馬が来るのではないか?
松井政就
'11. 5. 25
|
|
松井政就(まつい・まさなり)
作家。会地小学校早退。
主な作品:
★『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』(講談社プラスアルファ新書) ★『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) ★ 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 ★『ディーラーホースを探せ』 ★『経済特区・沖縄から日本が変わる』(以上、光文社) ★『神と呼ばれた男たち』等。 作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスアドバイザー、大学での講師などもたまに務める。
http://tjklab.jp/ |
|
|
|