|
Vol.475 知らないオジサン、おめでとう! 〜部長はどれくらいエライのか?〜
友達と安い酒を呑み、いつもの飲み屋に移動してもっと安い酒を呑んでいると、隣のテーブルで知らない男が、取り巻きから「部長」「部長」と呼ばれていた。
どう見ても平社員みたいだったが、「7月から部長になったんです」と、”部長”は頭を掻いた。
「知らないオジサン、部長昇進おめでとう!」とグラスを掲げると、”部長”は困ったような顔で「どうも」と答えた。
友人に「糖尿病の部長」がいるせいか、どうも部長のイメージがよくない。
そこで訊いてみた。
「部長ってどのくらいエライの?」
”部長”はキョトンとした。
取り巻きの男が目を白黒させ、「部長って、もの凄くエライんですよ!」
「そんなにエライの?! 社長より?」
「そりゃー、社長のほうがエライけど……」男は眉を八の字にした。
「じゃあ、課長とどっちがエライの?」
男は水を得た魚のように目を輝かせ、「部長に決まってるじゃないですか!」
「じゃあ係長とは?」
彼らはぼくと話をするのをやめた。
松井政就
'11. 6. 30
|
|
松井政就(まつい・まさなり)
作家。会地小学校早退。
主な作品:
★『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』(講談社プラスアルファ新書) ★『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) ★ 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 ★『ディーラーホースを探せ』 ★『経済特区・沖縄から日本が変わる』(以上、光文社) ★『神と呼ばれた男たち』等。 作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスアドバイザー、大学での講師などもたまに務める。
http://tjklab.jp/ |
|
|
|