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Vol.478 荘厳なファミレス
熱中症になったと書いたまま全く更新しなかったところ、「松井さんは死んだのですか?」というメールが研究所に何通か届いた。
「死んだ」と答えるとウソになるので、「生きながら死んでいます」と答えておいた。
でも、それくらいキツイ状態だった。
頭痛と吐き気に襲われ、脂汗は出るし、熱は出る。
このままどうなってしまうんだろうと思いながら苦しみ続けていたが、薬もなかなか効かず、8月15日の終戦記念日を待っていたかのように、とうとう治った。
というわけで16日から復活して近所のファミレスで原稿を書いていた。
すると、どこかで聞いたことがある声がした。
「平井堅じゃないか?」
誰かがそう言うと、お客さんたちがキョロキョロしはじめた。
「お待たせしました。ビーフカレーです。ドリンクバーはあちらでセルフサービスとなっております」
この低音、響き、平井堅の声に間違いない!
そう思った。
しかし、声の主は見たこともないオジサンだった。(新しい店員らしかった)
お客さんたちの間にがっかりした空気が漂った。
「お客様1名、禁煙席にご案内しまーす」
平井堅の声に導かれ、汗だくのおじさんが入ってきたが、もう誰も目を向ける人はいなかった。
原稿が一区切りついたのでお会計を済ますと、
「ありがとうございました」
平井堅の声に送り出された。
何だかわからないが荘厳な感じがした。
松井政就
'11. 8. 16
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松井政就(まつい・まさなり)
作家。会地小学校早退。
主な作品:
★『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』(講談社プラスアルファ新書) ★『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書) ★ 『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』 ★『ディーラーホースを探せ』 ★『経済特区・沖縄から日本が変わる』(以上、光文社) ★『神と呼ばれた男たち』等。 作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスアドバイザー、大学での講師などもたまに務める。
http://tjklab.jp/ |
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