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Vol.524 ロケットをミサイルと言い換える怖さ
〜核発電を原子力と言い換えるのと同様の洗脳〜
本日12月12日、「北朝鮮がミサイルを発射した」というニュースが駆けめぐった。
ぼくは恐怖を感じた。北朝鮮の発射したミサイルに対してではない。通常の人工衛星打ち上げロケットを「ミサイル」と言い換えていることに対して恐怖を感じたのだ。
今回の件で、某航空宇宙機関に勤務している技術者の友人に聞いた。その内容は下記の通り。
「北朝鮮が今回打ち上げたのは人工衛星打ち上げ用のロケットに過ぎない。もしあれをミサイルだというなら、日本が打ち上げているものもすべてミサイルになってしまう」
「しかも北朝鮮が国際機関に申請した飛行ルートは何も問題なく、正規の打ち上げルート。韓国が通常使用しているものとほぼ同一。本日の打ち上げも発表の通りに行われた」
政府は迎撃態勢を整えるということで、PAC3などを配備し、厳戒態勢を敷いた。しかし、いつも韓国が打ち上げている際は、日本政府は落下対策をするどころか、打ち上げに関する情報すら発表しない。それが、打ち上げ国が北朝鮮になっただけで、ロケットをミサイルと言い換え、まるで戦争でも起きるかのように騒ぐのはなぜか。
それは、国民に恐怖を与え、軍備増強を図りあるいは米軍基地の必要性を植え付けるための洗脳に他ならないからだ。
同じロケットを打ち上げても、他国が打ち上げる時は「ロケット」と呼び、北朝鮮の時だけ「ミサイル」と言い換えるのは、発電に用いる時だけ「核」を「原子力」と言い換えて国民の目をあざむくのと同じ手法である。
こうした情報操作によって簡単に国民が洗脳されてしまうことだけは、くれぐれも忘れてはいけない。
先の原発事故の際、政府が自分たちに都合よく情報を操作し、真実を報じなかったことを国民は嫌というほど思い知ったのに、対象が北朝鮮になった途端に、こうも簡単に政府に騙されてしまう。
非常に恐ろしいことだと思う。
2012. 12. 12 松井政就
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松井政就(まつい・まさなり)
作家。会地小学校早退。
雑誌記者、AVメーカーの事業プランナー、カジノプレイヤー、大学の講師、国会議員のスピーチライターなどの経歴をもつ。
・新聞・雑誌の連載に『競馬と国家と恋と嘘』(夕刊フジ)、『神と呼ばれた男たち』『パラダイスを探せ』『羅紗の女神』ほか。
・単行本に『賭けに勝つ人嵌る人』(集英社)『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』(講談社)『No.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』『経済特区沖縄から日本が変わる』『ディーラーホースを探せ』(光文社)『WHY
SHE IS SPECIAL?』『絶対に彼女には読ませたくない本』などがある。
http://tjklab.jp/ |
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