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                  | Vol.250 うっかり北京 〜(2)無軌道を眺める〜
 
 北京市内には、中国随一のアートのメッカとして建設中の「798芸術地区」というものがある。
 なぜ798なのか。
 この場所は元々電子工学の工場があった場所で、その工場番号が798番だったのがそのまま残されたというわけだ。
 
 
  
 
  
 
  
 まあとにかく広大な敷地で、それだけならば感心なのだが、既にオープンしているというのに内部は何と大工事の真っ最中。砂埃、土煙が舞い上がり、風が吹くと顔に砂の粒がバチバチと当たる。展覧会の開催中にもかかわらず、入り口には土がこんもり盛られ、それをまたいで会場に入る。 日本だったらあり得ない光景だ。
 
 ところで、北京市内には至るところに「博物館」なる名の施設がある。しかし博物館とは名ばかりで実態は土産物屋だ。 入り口には石などを加工した細かな作品がうやうやしく展示され、説明員が細かすぎる説明をしてくれる。 危うく歴史的にも価値のある芸術品かと勘違いしそうだが、これはただの民芸品。日本で言えば、水引の細工のような位置づけだ。
 
 説明員の話を鵜呑みにしてしまうと、とんだ買い物をしてしまいかねない。 同行した仲間にその話をしていたら、日本語がわかる係員に睨みつけられ、激しく抗議された挙げ句、すっかりマークされ、横にピタリとくっついて離れてくれず、しまいにトイレの入り口にまで付いて来られる羽目になった。
 つまりぼくの言ったことが図星だったということだろう。
 
 そうした無軌道ぶりは、市街地にとどまらず、万里の長城にまで繋がっている。
 
 「(3)どっこい北京」へ つづく
 
 
 松井政就
 '08.5.4
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                  |  | 松井政就(まつい・まさなり)  作家。中央大学早退。主な作品『賭けに勝つ人 嵌(はま)る人』(集英社新書)  『NO.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上!なぜ?』  『経済特区・沖縄から日本が変わる』  『ディーラーホースを探せ』(光文社)  『神と呼ばれた男たち』等。作品作りの傍らカジノプレイヤーとして海外を巡るほか、ビジネスコンサルタント、大学講師などを務める。 http://tjklab.jp/
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